婚活に疲れて駆け込んだ結婚相談所で、担当カウンセラーが3年前に俺がフッた元カノだった話

俺、結城涼介、32歳。都内の物流系の会社で、中堅どころの会社員をやっている。

仕事はそれなりに順調だ。役職も付いて、給料も悪くない。 ただ、私生活の方は——正直、行き詰まっていた。

きっかけは、去年の年末。地元の友達が立て続けに結婚して、気づけば独身は俺だけになっていた。 焦って、マッチングアプリを片っ端から入れた。 週末は知らない女性とカフェで一時間、当たり障りのない会話をして、二度と会わない。 合コンにも行った。盛り上がっても、連絡先を交換した翌週には返信が途絶える。

半年。ひたすら、すり減った。

(……もう、自分一人でやるの、限界だな)

そんな俺を見かねて、会社の同期の田所が言ったのだ。

「お前さ、もうアプリとか合コンとか向いてないんだよ。プロに頼め、プロに」

「プロって」

「結婚相談所。俺の従兄弟、それで結婚したぞ。担当のカウンセラーが全部お膳立てしてくれるんだと」

「相談所か……なんか、ハードル高いな」

「四の五の言うな。一回、面談だけ受けてこい。無料なんだから」

田所に半ば背中を押される形で、俺は駅前の結婚相談所に、初回面談の予約を入れた。

6月の、水曜の夜。

梅雨入りしたばかりで、朝からしとしとと雨が降り続いていた。 仕事を定時で切り上げて、傘を差して、相談所の入っているビルに向かう。 予約は19時。正直、気が重かった。

(婚活相談所って、どんな感じなんだろ。ガツガツ営業されたら、やだな)

ビルの5階。降りると、落ち着いた内装のフロアが広がっていた。 間接照明に、観葉植物。受付の女性に名乗ると、奥のカウンセリングルームに通された。

個室だった。小さな丸テーブルを挟んで、二人掛けのソファが向かい合っている。 俺はソファに座って、出されたお茶に口をつけた。

しばらくして、ノックの音。

「お待たせいたしました。本日、担当させていただきます——」

ドアが開いて、女性が入ってきた。 紺のジャケットに、白いブラウス。きちんとまとめた髪。手には、ファイルと名刺入れ。

その顔を見た瞬間。 俺の心臓が、どくん、と大きく跳ねた。

(……え)

見間違いかと思った。でも、違う。 切れ長の、少し下がり気味の優しい目。鼻にかかった、特徴的な低めの声。 間違えるはずがない。だって、2年も付き合っていたんだから。

「——カウンセラーの、七瀬と……」

名刺を差し出しかけた彼女の言葉が、ぴたり、と止まった。 七瀬の視線が、俺の顔で固まる。名刺を持つ指が、わずかに、震えた。

「……結城、くん?」

藤代七瀬。 3年前まで、俺の恋人だった女だ。 そして——別れを切り出したのは、他でもない、俺の方だった。

カウンセリングルームの空気が、完全に凍りついた。

七瀬は名刺を差し出した姿勢のまま、しばらく動けずにいた。 俺も、お茶のカップを持ったまま、固まっていた。

「……マジで、七瀬、なのか」

「……うん。びっくり、した。お名前、結城涼介様って……同姓同名かと思って」

「いや、その、まさかお前がここで……」

七瀬は、ふっと息を吐いて、それから、すっと背筋を伸ばした。 さっきまでの動揺を、無理やり仕舞い込むみたいに。

「……失礼しました。改めまして。担当カウンセラーの、藤代七瀬と申します」

そう言って、彼女は、テーブルに名刺を置いた。 完璧な、営業スマイル。でも、その笑顔が、ほんの少しだけ、引きつっているのを、俺は見逃さなかった。

藤代七瀬、29歳。 俺より3つ下。付き合っていた頃は、雑貨メーカーで営業事務をやっていた。 おっとりして、でも芯のしっかりした女だった。

別れたのは、3年前。 当時の俺は、ちょうど今のポジションに昇進する直前で、毎晩終電、休日出勤も当たり前。 七瀬と会う時間が、どんどん削られていった。

「最近、ちゃんと顔も見れてないね」

そう寂しそうに言う七瀬に、俺は、こう返してしまった。 「今は仕事が大事な時期なんだ。お前を幸せにできる自信がない。……一回、距離を置こう」と。

距離を置く、なんて、ただの言い訳だった。 本当は、忙しさを理由に、向き合うのが面倒になっていただけ。 七瀬は、泣きながら、「分かった」と言って、去っていった。

その七瀬が今、結婚相談所のカウンセラーとして、俺の前に座っている。 「あなたの結婚を、お手伝いします」という顔で。

(……なんつう、皮肉だよ)

「えっと……結城様。今日は、ご入会の前の、初回カウンセリングということで……ご希望の条件とか、結婚への価値観とか、お伺いしていくんですけど」

「……様、はやめてくれ。やりにくい」

「……でも、お仕事ですから」

七瀬は、ファイルを開いて、ボールペンを構えた。 プロの顔。でも、ペンを持つ手は、まだ少し、震えていた。

カウンセリングは、ぎこちなく進んだ。

七瀬は、マニュアル通りに質問してくる。 希望する相手の年齢、職業、結婚後の生活のイメージ。 俺は、しどろもどろに答える。元カノに「どんな女性が好みですか」と聞かれて、まともに答えられる男がどこにいる。

「では……結婚相手に求める条件を、3つほど挙げていただけますか」

「条件って言われてもな……」

「価値観が合う方、とか。一緒にいて落ち着く方、とか」

「……一緒にいて、落ち着く人、かな」

書き取ろうとした七瀬の手が、止まった。 ほんの一瞬。彼女は、何か言いかけて、でも、何も言わずに、ペンを走らせた。

俺は、たまらず、口を開いた。

「……七瀬さ。なんで、この仕事してんの」

「……仕事の話と関係ない質問は」

「いいじゃん。久しぶりなんだから」

七瀬は、少し迷ってから、ペンを置いた。

「……前の会社、辞めたの。2年前に。なんか、こう……自分が幸せになるより、人の幸せのお手伝いをする方が、向いてるなって思って」

「人の幸せ、ねえ」

「うん。だって、私……」

そこで、七瀬は、言葉を切った。 言いかけて、飲み込んだ。何を言おうとしたのか、俺には、なんとなく分かった気がした。

窓の外では、雨が、まだ降り続いていた。

「……結城くんは、結婚、したいんだね」

「まあ……周りがみんな結婚していって、焦ってるだけかもしれないけど」

「焦り、か」

「お前は。……してないの、結婚」

「……っ」

七瀬の頬が、わずかに、こわばった。

「……してないよ。人の縁を結ぶ仕事してるのに、自分の縁は、さっぱり」

そう言って、七瀬は、力なく笑った。 その笑い方が、3年前と、まったく同じで。 俺の胸の奥が、きゅっと、痛んだ。

その日の面談は、結局、ろくに条件も決まらないまま終わった。

帰り際、エレベーターホールまで、七瀬が見送りに来た。 他のスタッフはもう奥に引っ込んでいて、フロアには、俺たち二人だけだった。

「……今日は、ごめんね。私が担当だと、結城くん、やりにくいよね」

「いや……」

「担当、変えてもらうこともできるから。男性のベテランカウンセラーもいるし」

「……お前がいい」

口から、勝手に、言葉が出ていた。 七瀬が、目を丸くして、俺を見た。

「いや、その。お前が担当の方が、なんつーか……気楽っていうか」

「気楽って……元カレ相手に、気楽って」

「……変か」

「……変だよ。ふふ」

七瀬が、ちょっとだけ、いつもの調子で笑った。 プロの営業スマイルじゃない。昔の、俺の知ってる七瀬の笑顔だった。

エレベーターが来て、俺は乗り込んだ。 ドアが閉まる直前、七瀬が、ぽつりと言った。

「……来週、本入会の手続き、来てね。待ってるから」

ドアが閉まる。 一人になった箱の中で、俺は、自分の心臓が、やけに速く打っているのに気づいた。

(……なんで、こんなにドキドキしてんだよ)

婚活のために来た相談所で、まさか、元カノに再会するなんて。 しかも、別れを切り出した、罪悪感のある相手に。

なのに、俺の頭の中は、もう、新しい出会いのことなんて、これっぽっちも考えていなかった。 七瀬の、引きつった営業スマイルと、最後に見せた、昔のままの笑顔のことばかり、考えていた。

翌週。俺は、本当に、本入会の手続きに行った。

七瀬が、書類の書き方を、丁寧に説明してくれる。 プロフィールの作り方、お見合いの申し込み方、断り方のマナー。

「お見合いの場って、慣れないと緊張するから。よかったら、一回、練習しておく?」

「練習?」

「うん。模擬お見合い。私が相手役やって、会話の流れとか、見てあげる。サービスの一環だから」

——サービスの一環。 そう言いながら、七瀬は、なぜか、少しだけ目を逸らしていた。

数日後の、土曜の昼。 模擬お見合いの場所として七瀬が指定したのは、相談所が提携している、ホテルのラウンジだった。 本番のお見合いと、同じシチュエーションで練習する、ということらしい。

ラウンジに現れた七瀬を見て、俺は、息を呑んだ。

仕事用のジャケット姿じゃなかった。 淡いブルーのワンピース。緩く巻いた髪。控えめだけど、きちんとした化粧。 お見合いの「相手役」として、女性の側の装いをしてきたのだ。

「……お前、それ」

「な、なに。模擬お見合いだもん。ちゃんと、女性側の格好してこないと、練習にならないでしょ」

「……いや。似合ってる」

「……っ、もう。茶化さないで」

頬を赤くして俯く七瀬は、カウンセラーの顔じゃなくて、完全に、一人の女だった。

模擬お見合いは、和やかに進んだ。 七瀬は「初めまして、藤代と申します」なんて、他人のフリをして会話をリードする。 俺も、それに乗っかって、初対面の男のフリをする。

でも、20分もすると、二人とも、フリを続けられなくなった。

「……ふふっ。だめだ。結城くん相手に、初対面のフリ、無理」

「俺も。お前のこと知りすぎてて、緊張感ゼロだわ」

「練習にならないね、これ」

「なってないな」

二人で、声を上げて笑った。 気づけば、模擬お見合いなんて、どこかに吹き飛んで。 ただの、3年ぶりの、元恋人同士の、お茶になっていた。

ラウンジを出ると、空が、急に暗くなっていた。 さっきまで止んでいた雨が、ざあっと、本降りになっている。梅雨らしい、突然の豪雨だった。

「うわ……すごい雨」

「傘、持ってきたか」

「……持ってきてない。やだ、どうしよ」

俺は、自分の折りたたみ傘を開いた。一本しかない。

「……入れよ。駅まで」

「え……いいよ、悪いよ」

「いいから。濡れるぞ」

七瀬は、おずおずと、俺の傘の中に入ってきた。 小さな折りたたみ傘。二人で入ると、肩が、ぴったりとくっつく。 昔と同じ、柔軟剤の匂いがした。それだけで、3年前の記憶が、どっと押し寄せてくる。

雨脚が強くて、駅まで遠回りになった。 軒先で、少し雨宿りをすることにした。閉まったシャッターの前。雨音だけが、響いている。

しばらく、二人とも、黙っていた。 やがて、七瀬が、雨を見つめたまま、ぽつりと言った。

「……ねえ、結城くん。私、ずっと、聞きたかったことがあるの」

「なんだよ」

「あのとき。私たちが別れたとき。……結城くんは、本当に、私のこと、もう好きじゃなくなってたの?」

不意打ちだった。 俺は、雨を見つめたまま、すぐには答えられなかった。

「ずっと、思ってたの。私、何か悪いことしたのかなって。もっと、結城くんの仕事のこと、理解してあげればよかったのかなって」

「……違う。お前は、何も悪くない」

「じゃあ、なんで」

「……俺が、逃げたんだ」

ようやく、言えた。 3年間、ずっと、喉の奥に引っかかっていた言葉。

「仕事が忙しいのは、本当だった。でも、それを言い訳にして、お前と向き合うのが、怖くなったんだ。お前を幸せにできるのか、自信がなくて。……だから、自分から、突き放した」

「……っ」

「ずっと、後悔してた。あんな別れ方、しなきゃよかったって。お前のこと、傷つけて、本当に、悪かった」

七瀬が、顔を上げた。 その目に、みるみる、涙が溜まっていく。

「……バカ」

「ああ。バカだったよ、俺」

「3年も、経ってから……今さら、そんなこと言われても……」

そう言いながら、七瀬の手が、俺のシャツの裾を、きゅっと掴んでいた。

「私……ずっと、結城くんのこと、忘れられなかった。人の縁を結ぶ仕事しながら、自分は、結城くんと別れたこと、引きずってたの。情けないでしょ」

「……情けなくなんかない」

「結城くんが、入会の予約してきたとき。名前見て、心臓、止まるかと思った。神様、いるのかなって、思った」

雨音が、二人を、包んでいた。 俺は、七瀬の濡れた頬に、そっと手を伸ばした。

「……七瀬」

「……っ、待って。私、今、仕事中で……」

「もう、仕事の時間、とっくに過ぎてる」

七瀬が、はっとして、腕時計を見た。 模擬お見合いの予定時間は、とっくに終わっていた。

「……ほんとだ」

「だろ」

「……ずるいよ、そういうの」

涙の溜まった目で、七瀬が、俺を見上げた。 雨に濡れた前髪。潤んだ瞳。半分開いた、震える唇。

俺は、もう、自分を止められなかった。

「……うち、来るか。この近くなんだ」

「……っ」

「嫌なら、断ってくれていい」

七瀬は、しばらく、俯いていた。 そして、ゆっくりと、小さく、頷いた。

「……行く。結城くんちに、行きたい」

その声は、カウンセラーの声じゃなかった。 3年前、俺だけが知っていた、一人の女の声だった。

俺のマンションは、その駅から、歩いて10分のところにあった。 傘を一本、二人で差して、肩を寄せ合って歩く。 玄関のドアを開けて、二人で中に入る。ドアが閉まった瞬間、空気が、変わった。

「……なんか、緊張する」

「俺も」

「3年ぶりだもん。結城くんと、こんなふうに、二人きりになるの……」

俺は、七瀬の濡れた肩から、そっとカーディガンを外した。 七瀬が、びくっと震えて、でも、逃げなかった。 ゆっくりと、顔を上げる。涙の跡が残る頬。潤んだ瞳。3年前と、同じ顔。

「……キス、していいか」

「……聞かないでよ。恥ずかしい……」

俺は、ゆっくりと、顔を近づけた。

ちゅ……

3年ぶりの、唇。柔らかくて、雨の匂いと、七瀬の甘さがした。

「ん……っ」

七瀬の体が、ぴくっと震えた。一度離れて、もう一度。今度は、少し深く。

ちゅ……ちゅぷ……

「ん……ぅ……♡ 結城くんの、キス……変わってない……♡」

「お前も。全然、変わってないよ」

唇を重ねながら、俺の手が、七瀬の背中に回る。 七瀬も、俺のシャツを、ぎゅっと握ってきた。 舌を差し入れると、七瀬も、おずおずと、舌を絡めてくる。

ちゅる……れろ……ちゅぷ……

「は……っ、ん……♡」

キスをしながら、俺たちは、寝室へ移動した。 七瀬を、そっとベッドに座らせる。スプリングが、きしっと鳴った。

「……あんまり、見ないで。3年前より、ちょっと、痩せちゃったから……」

「バカ。お前、昔より、綺麗になってるよ」

「……っ、ずるい。そういうとこ、昔のまんま……♡」

俺は、七瀬のワンピースのファスナーに、手をかけた。 背中のファスナーを、ゆっくりと下ろしていく。 白い肌が、現れる。淡いブルーのブラに包まれた、柔らかそうな胸。

「……綺麗だ」

「やだ……恥ずかしい……♡」

ワンピースを肩から滑り落として、背中のホックに手を回す。

パチン。

ブラが緩んで、落ちる。ぷるんっ、と、柔らかな胸が、解き放たれた。

「……っ、見ないでってば……♡」

形のいい、ふっくらとした胸。薄いピンクの先端が、もう、少し硬くなりかけていた。 俺は、片方の胸に、そっと手を添えた。

むにゅっ……

「あっ……♡」

「……柔らかい」

手のひらに、収まりきらない、柔らかな重み。 指が沈み込んで、離すと、ぷるんと戻ってくる。 3年ぶりの感触は、懐かしくて、それでいて、新鮮で、たまらなかった。ゆっくりと、揉みしだく。

むにゅ……ふにゅ……

「ん……っ、あ……♡ そこ……♡」

「感じてる?」

「……っ、言わせないで……♡」

先端を、指の腹で、そっと転がす。

くりっ……

「ひぁっ♡ そこ……っ♡」

七瀬が、大きく仰け反った。昔から、ここが弱かったのを、思い出す。

「ここ、相変わらず敏感だな」

「……っ、覚えてるの、ずるいよ……♡」

両方の先端を、同時につまんで、くりくりと弄ぶ。

くりくりっ♡ こりこりっ♡

「あぁんっ♡ だめっ……両方、いっぺんにっ……♡」

七瀬の呼吸が、荒くなっていく。俺は、片方の胸に、顔を埋めた。

ちゅぷっ♡

「ひゃぅっ♡♡ す、吸っちゃ……っ♡」

先端を口に含んで、舌先で、ねっとりと舐め回す。

れろっ♡ ちゅるっ♡ ちゅうぅっ♡

「あっ♡ あっ♡ やぁっ♡ 結城くんっ……♡ きもちいぃ……♡」

片方を口で、もう片方を指で。 交互に責めていると、七瀬の声が、どんどん甘く、とろけていく。 さっきまでの、凛としたカウンセラーの面影なんて、跡形もなかった。

「結城くん……っ、私だけ脱がされてるの、恥ずかしい……♡ 脱いで……?♡」

俺は、シャツを脱ぎ捨てた。 七瀬が、俺の胸に、そっと手を当てる。

「……ちょっと、引き締まった? 昔より、男っぽくなってる……♡」

「3年も経ってるからな」

「……えっち♡」

そう言って、七瀬は、俺のベルトに手をかけた。

カチャ……ジー……

ズボンを下ろすと、下着の中で、もうパンパンに張り詰めているのが、丸わかりだった。

「……っ、すごい♡ もう、こんなに……♡」

「お前が、エロすぎるからだろ」

「もう……♡ でも、嬉しい♡」

七瀬が、おずおずと、下着の上から、俺のモノに触れた。

さわっ……にぎっ……

「……熱い♡ ねえ……私、してあげたい♡」

「……いいのか」

「うん。3年分、ちゃんと、可愛がってあげたいの♡」

七瀬が、ベッドの上で、俺の前に、ちょこんと膝をついた。両手で、俺のモノを包み込む。

にぎっ……しゅっ……しゅっ……

「ん……♡ 結城くんの……硬い……♡」

「七瀬の手、気持ちいい……」

「ふふ♡ じゃあ、お口でも……♡」

七瀬が、先端に、ちゅっとキスをした。

ちゅっ♡ ちゅぷっ♡

小さなキスを繰り返してから、ゆっくりと、咥え込む。

ずぶ……ちゅぷ……♡

「っ……七瀬……っ」

温かくて、濡れていて、舌が、ねっとりと絡みついてくる。 七瀬が、ゆっくりと、頭を上下させ始めた。

じゅぶっ♡ ちゅぷっ♡ じゅるるっ♡

「んぷっ……ちゅるっ……れろれろ……♡」

「くっ……上手くなったな、お前……」

「んっ♡ ……結城くんのだから、上手にしたいの♡」

七瀬が、上目遣いで、俺を見上げる。 唇でしっかり圧をかけながら、舌先で、裏筋をなぞってくる。 先端に来るたびに、ちゅるんっと、舌で転がす。

じゅぷっ♡ ちゅぱっ♡ じゅるるるっ♡

「んんっ♡ ……結城くんの味、懐かしい……♡」

「やべっ……七瀬、気持ちよすぎ……」

「んっ♡ もっと、してあげる……♡」

ずぶっ♡ ずぶっ♡ じゅぷぷぷっ♡

奥まで咥え込んで、喉の奥が、当たる。

「んぐっ……♡ んぷっ……♡」

「っ……七瀬、一回、止めてくれ。このままだと、出ちゃう」

「んっ……ぷはっ♡ ……だめ。まだ、出さないで♡ ちゃんと、私の中で、感じてほしいの……♡」

そう言って、七瀬は、口を離した。唾液の糸が、つぅっと、光る。

「……エロいな、お前」

「……っ、結城くん限定だよ♡」

七瀬が、ベッドに横になった。 ストッキングを脱いで、自分から、ショーツに手をかける。

「……見て♡ こんなに、なっちゃった♡」

淡いブルーのショーツが、はっきりと、湿っていた。 ゆっくりとショーツを脱がすと——

つぅーーっ♡

蜜が、糸を引いた。

「……恥ずかしい♡ こんなに濡れてるの、見ないで……♡」

「見るに決まってるだろ。すげー、綺麗だよ」

「もう……っ♡」

七瀬の秘所は、とろとろに、濡れていた。 指を一本、そっと、滑り込ませる。

ずちゅっ♡

「ひぁっ♡♡」

「すごい……もう、こんなに……」

「だって……っ、3年も、結城くんに触られてなかったんだもん……♡」

指を、ゆっくり出し入れすると、くちゅくちゅと、音がする。

くちゅっ♡ くちゅくちゅっ♡

「あっ♡ あっ♡ きもちいぃ……♡」

二本目の指を入れて、前壁の、少しざらついた場所を、こりこりと擦る。

ぐちゅっ♡ ぐちゅぐちゅっ♡

「ひあっ♡♡ そこっ♡ そこ、やばいっ♡♡」

「ここ、好きだったよな」

「……っ、ほんと、覚えてるの、ずるいっ♡♡」

親指で、敏感な芽を、同時に刺激する。

くりくりっ♡ ぐちゅぐちゅっ♡

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ だめっ♡ それ、両方されると……っ♡♡ もう……っ♡」

「イきそう?」

「うんっ♡ もう、我慢できないっ♡ 結城くん、欲しい……っ♡ お願いっ♡」

俺は、財布から、ゴムを取り出して、身につけた。 七瀬の足の間に、体を入れる。先端を、とろとろの入り口に、当てた。

「いくぞ、七瀬」

「うん……っ♡ 優しく、してね……♡」

ずぷっ……♡

「んあぁっ♡♡♡」

先端が入った瞬間、七瀬が、甲高い声を上げた。 きつい。なのに、とろとろに濡れているから、吸い込まれるように、奥へ入っていく。

ずず……ずぷぷっ……♡

「あぁっ……♡ 結城くんの、入ってくるぅ……♡ 奥まで……っ♡」

「くっ……七瀬の中、めちゃくちゃ気持ちいい……」

「ほんと……?♡ 私も……っ♡ いっぱいに、なってる……♡」

奥まで、入りきった。 七瀬の中が、ぎゅうぎゅうと、俺を締め付けてくる。 3年前の感触と、同じで、でも、もっと、深かった。

「動くぞ」

「うん……っ♡」

ずちゅっ♡ ぱんっ♡

「ひぁっ♡」

ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ 結城くんっ♡」

正常位で、ゆっくりと、腰を動かす。 引くときに、きゅっと締まって、入れるときに、とろっと受け入れてくれる。 その繰り返しが、信じられないくらい、気持ちよかった。

ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡

「あぁっ♡ やっ♡ そこっ♡ そこ、気持ちいいっ♡♡」

「ここか?」

ぐちゅっ♡♡

「ひあぁぁっ♡♡♡ そこぉっ♡♡」

奥の方を突くと、七瀬が、大きく体を跳ねさせた。

「そこ当たると……っ♡ おかしくなっちゃうのぉ……♡♡」

「じゃあ、そこ、たくさん突いてやる」

ぱんっ♡ ぱんっ♡ ずちゅっ♡ ぱんっ♡

「あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡ だめっ♡ そこばっかりっ♡♡ 壊れちゃうっ♡♡」

七瀬の胸が、突くたびに、ぶるんぶるんと揺れる。 緩く巻いた髪が、シーツの上で乱れて、汗で頬に張り付いている。 さっきまでの、凛としたカウンセラーとは、別人みたいな表情。 そのギャップが、エロすぎて、腰の動きが、どんどん速くなる。

ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡

「あああっ♡♡ 結城くんっ♡ きもちいいっ♡♡ すごいのっ♡♡」

「俺も……七瀬の中、よすぎて……っ」

「ねぇっ♡ 結城くんっ♡ ……抱きしめて♡ ぎゅってして♡」

俺は、体を倒して、七瀬を、強く抱きしめた。 胸と胸が、密着する。腰を動かしながら、七瀬の耳元で、囁いた。

「七瀬……好きだ。やっぱり、お前のことが好きだ」

「……っ♡♡ 私もっ♡ ずっと、好きだったっ♡ 結城くんのこと、一回も、忘れたことなかったっ♡♡」

抱き合ったまま、腰を打ちつける。

ぱんぱんぱんっ♡♡

「あっ♡ あっ♡ イクっ♡ 結城くんっ♡ 一緒に、イこっ♡♡」

「ああ……俺も、もう……っ」

「きてっ♡ いっぱい、きてっ♡ 3年分、全部っ♡♡」

ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡ びくびくっ——♡♡♡

「あぁぁぁっ♡♡♡ イクっ♡ イクイクっ♡♡ きてるっ♡♡♡」

「くっ……七瀬っ……!」

奥深くで、薄い膜越しに、全部、出した。 七瀬の中が、びくびくと収縮して、搾り取るように、締め付けてくる。

「はぁっ……♡ はぁっ……♡ すごかった……♡ 結城くんと、また、こうなれるなんて……♡」

「七瀬……大丈夫か」

「うん……♡ むしろ、幸せ……♡」

七瀬が、とろんとした目で、笑った。 3年前と、同じ、ふわっとした笑顔で。でも、その目には、うっすらと、涙が滲んでいた。

しばらく、二人で、荒い息を整えていた。 窓の外では、まだ、雨が降り続いていた。さっきより、少し、優しい雨脚で。

七瀬が、俺の胸に、そっと頬を寄せてきた。

「……ねえ、結城くん。これ、完全に、規約違反だよね」

「規約違反?」

「カウンセラーが、担当の会員さんと、その……こういうこと、するの。バレたら、私、クビかも」

「……マジか」

「ふふ。でも、後悔してない♡」

そう言って、七瀬は、いたずらっぽく笑った。 でも、その後、急に、しゅんとした顔になる。

「……でも、ね。結城くんは、結婚相手を探しに、相談所に来たんだよね。私と、こうなっちゃって……いいの?」

「……七瀬」

「私のこと、引きずってるだけかも、しれないよ。3年ぶりに会って、勢いで……」

「違う」

俺は、体を起こして、七瀬の顔を、まっすぐ見た。

「勢いなんかじゃない。俺、この一週間、ずっと、お前のことばっか考えてた。新しい出会いなんて、もう、これっぽっちも、興味なかった」

「……っ」

「俺が探してた『一緒にいて落ち着く人』。それ、最初から、お前だったんだよ」

七瀬の目から、ぽろっと、涙がこぼれた。

「……ずるいよ。そんなこと言うの……」

「七瀬。退会の手続き、頼んでいいか」

「え……?」

「俺、相談所、辞める。だって、もう、結婚したい相手、見つかったから」

七瀬が、ぱちぱちと、瞬きをした。 そして、くしゃっと、顔を歪めて、笑った。

「……それ、担当カウンセラーとして、一番、複雑な退会理由なんですけど……♡」

「悪いな。お前のせいだ」

「もう……っ♡」

七瀬が、俺の胸に、ぎゅっと、抱きついてきた。

しばらく抱き合ったあと、七瀬が、ふと、体を起こした。 とろんとした目で、俺を見て、ねだるように、言った。

「……ねえ、結城くん。まだ、元気だよね……?♡」

視線の先を見ると——確かに、まだ、全然、萎えていなかった。

「3年分、まだ、足りないよ……♡ もっと、して……?♡」

「……お前、意外と、貪欲だな」

「結城くん限定だってば♡ ……今度は、後ろから、してほしいな♡」

七瀬が、ベッドの上で、四つん這いになった。 ぷりんと突き出されたお尻が、白くて、丸くて——エロすぎた。

「……恥ずかしい♡ こんな格好……♡」

「めちゃくちゃ綺麗だよ、七瀬」

「もう……っ♡ 早く、来てよぉ……♡」

新しいゴムをつけ直して、とろとろの中に、後ろから、挿入する。

ずぷっ♡♡

「あぁんっ♡♡ バック、深いぃ……♡♡」

この体勢だと、さっきよりも、深く入る。 七瀬の中が、きゅうっと締まって、最奥に、密着してくる。

ぱんっ♡ ぱんっ♡

「あっ♡ あっ♡ んんっ♡ やぁ……っ♡ 奥、当たってるぅ……♡♡」

腰を掴んで、リズミカルに突く。 七瀬のお尻が、ぶつかるたびに、ぱちんっと、弾力のある音を立てる。

ぱんぱんぱんっ♡♡

「あぁっ♡ これ、好きっ♡ 結城くんのが、奥に当たるのっ♡♡ きもちいいのぉ♡♡」

前から手を回して、揺れる胸を、鷲掴みにする。

むにゅんっ♡♡

「ひゃぁっ♡♡♡ おっぱいも、だめぇっ♡♡ 一緒にされると、きもちよすぎっ♡♡」

胸を揉みながら、腰を叩きつける。

ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡

「あああっ♡♡ もうっ♡ またイっちゃうっ♡♡ 結城くんと、一緒がいいっ♡♡」

「俺もっ……もう……っ!」

ぱんぱんぱんっ♡♡ びくびくっ——♡♡♡

「あぁぁぁっ♡♡♡♡ イクっ♡♡ また、イっちゃうっ♡♡♡♡」

「くぅっ……! はぁ……はぁ……」

二度目を、出しきった。 七瀬の中が、ぎゅうっぎゅうっと、痙攣するように締め付けてきて、最後の一滴まで、絞り出される。 七瀬が、そのまま、前に、ぺたんと崩れ落ちた。

「はぁっ……♡ はぁっ……♡ すごい……♡ 腰、抜けちゃった……♡」

俺は、七瀬の隣に、横になった。 七瀬が、すぐに、俺の胸に、顔を埋めてくる。

「……結城くんの匂い、懐かしい♡」

「お前も。全然、変わってない」

しばらく、二人で、ぼーっと、抱き合っていた。 窓の外の雨音が、子守唄みたいに、響いていた。

翌朝。

カーテンの隙間から、朝の光が差し込んでいた。 昨日の雨が嘘みたいに、空は晴れている。梅雨の晴れ間だった。 俺が目を覚ますと、七瀬が、俺の腕の中で、すやすやと眠っていた。

しばらく、その寝顔を眺めていると、七瀬が、ゆっくりと目を開けた。

「……ん……おはよ、結城くん」

「おはよう」

「……夢じゃ、ないよね。これ」

「夢じゃない。現実だよ」

七瀬が、くすっと笑って、俺の胸に、頬をすり寄せた。 俺は、七瀬の頭を撫でながら、ずっと考えていたことを、口にした。

「……なあ、七瀬。今度は、仕事を言い訳にしない」

七瀬が、顔を上げた。

「3年前、俺は、仕事を言い訳にして、お前から逃げた。でも、もう、逃げない。もう一回、ちゃんと、付き合ってくれ。……いや、付き合うっていうより」

俺は、一度、息を吸った。

「結婚を前提に、もう一度、俺と、やり直してほしい」

七瀬の目が、見る間に、潤んでいく。 そして、ぽろっと、涙がこぼれた。

「……っ、ずるいよ。朝から、プロポーズみたいなこと言うの……」

「返事は?」

「……うんっ♡ やり直す♡ 私も、もう二度と、結城くんのこと、離さないっ♡」

涙ぐみながら、七瀬が、力いっぱい、俺に抱きついてきた。 俺も、その背中を、しっかりと抱きしめた。3年かかって、やっと、戻ってこれた。

「……まさか、婚活で行った相談所の担当が、お前だったとはな」

「ふふ♡ こっちのセリフだよ。名簿で結城くんの名前見つけたとき、心臓、止まるかと思った」

「……でも、結果的に、私、ちゃんとお仕事したことになるのかな? 会員さんを、無事、ご成婚に導いたわけだし♡」

「自分で自分を成婚させてどうするんだよ」

「あはは♡ 確かに♡」

七瀬が、口元に手を当てて、嬉しそうに笑った。

それから、ひと月後。

七瀬は、結婚相談所を、円満に退職した。 さすがに、担当会員と付き合うわけにはいかない、という、ごく真っ当な理由で。

「所長にね、正直に話したの。担当の方と、再会したら、昔の恋人で、復縁しちゃいましたって」

「所長、なんて?」

「最初は呆れてたけど……最後は、笑って『縁を結ぶのが仕事だけど、まさか自分で結ぶとはね』って」

「……いい所長だな」

「うん。お祝いに、退職金、ちょっと色つけてくれた♡」

その日、俺は、七瀬を連れて、地元の友達——田所たちの集まりに顔を出した。 俺に相談所を勧めた、張本人だ。

「みんな、紹介する。俺の、彼女。……というか、もうすぐ、婚約者」

「は? お前、相談所で見つけたのか!? 早すぎだろ!」

「ああ、相談所で見つけた。……担当のカウンセラーをな」

「……は?」

一瞬の沈黙のあと、田所が、素っ頓狂な声を上げた。

「担当って……お前、それ、どういうことだよ!」

「3年前に別れた元カノが、たまたま、担当カウンセラーだったんだ。それで、再会して、復縁した」

「ドラマかよ……!」

田所が、頭を抱えた。七瀬は、頬を赤くしながら、ぺこりと頭を下げた。

「藤代七瀬です。涼介さんのこと、これからも、よろしくお願いします♡」

俺は、七瀬の手を、テーブルの下で、そっと握った。 七瀬も、握り返してくる。その手は、もう、震えていなかった。

3年前、俺は、仕事を言い訳に、自分から、この手を離した。 でも、巡り巡って、婚活なんてものを始めたおかげで、また、この手を、握ることができた。

人生、どこで何が繋がるか、本当に分からない。 結婚相手を探しに行った場所で、まさか、3年前に手放した相手と、再会するなんて。

帰り道。梅雨明けの、晴れた夜空の下を、二人で並んで歩いた。 七瀬が、俺の腕に、ぎゅっと、腕を絡めてくる。

「ねえ、涼介さん。今度は、絶対に、仕事を言い訳にしないでよ?」

「ああ。誓うよ」

「ふふ♡ ……あのね。私、これでも、人の縁を結ぶプロだったんだから。自分の縁くらい、ちゃんと、最後まで結んでみせるんだから♡」

「……ああ。頼りにしてる、カウンセラーさん」

七瀬が、もう一度、口元に手を当てて、笑った。 その笑顔は、もう、プロの営業スマイルじゃなくて、俺だけに見せる、柔らかい笑顔だった。

― 終 ―


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