金曜の夜。仕事終わり。 俺、藤崎蓮(ふじさき れん)、26歳。都内の広告代理店に勤めるごく普通のサラリーマンだ。
大学時代はDJサークルに所属していて、ハウスとテクノを中心にアナログレコードを回していた。社会人になってからは足が遠のいたが、音楽への愛は変わらない。部屋にはテクニクスのターンテーブルが2台。壁一面のレコード棚。週末は好きな盤を回しながらウイスキーを飲む——それが唯一の息抜きだった。
同期の中村からLINEが来た。
『今夜、渋谷のCIRCUSでイベントあるけど来ない? テクノ寄りのハウスで、結構いい箱だよ』
俺の好みど真ん中。即答で行くと返した。
23時。渋谷CIRCUS前。中村が手を振っていた。
「今日はマジでいいラインナップだから。メインのDJ MIRA って知ってる?」
「知らないな」
「SoundCloudのフォロワー5万超え。海外レーベルからもリリースしてる。しかもめっちゃ美人」
「美人DJか。ありがちな——」
「いや、ガチだから。腕も顔もガチ」
エントランスで手首にスタンプを押され、重い扉を開けた。
ずんっ……ずんっ……ずんっ……
低音が身体を揺らす。この感覚。やっぱりクラブはいい。
0時過ぎ、DJブースに交代の気配——ブースに、一人の女が立った。
長い黒髪をゆるく巻いて片側に流している。切れ長の目にすっと通った鼻筋。黒のクロップドトップスにハイウエストのワイドパンツ。鎖骨と引き締まったウエストがちらりと覗く。そしてクロップドトップスの胸元がしっかりと膨らんでいる。Dカップ。服の上からでもわかる存在感。
クール系美人。笑わない。媚びない。ブースに立っただけで空気が変わる。
(これが……DJ MIRA)
ヘッドフォンを片耳に当て、ミキサーに手をかけた瞬間——最初のトラックで鳥肌が立った。
テクノ寄りのディープハウス。硬質なキックにメロディアスなシンセ。ミックスは滑らかで、EQの使い方が繊細。フロアの温度をじわじわ上げていく。
(うわ……本物だ。見た目だけじゃない)
気づけばフロアの前方でブースの手元が見える位置にいた。1時間のセットがあっという間に終わり、フロアから大きな拍手。MIRAが初めて微かに口角を上げた。控えめなのにめちゃくちゃ色気がある笑み。
「で、打ち上げあるんだけど来る?」と中村。
「行く」即答だった。
午前3時。渋谷の裏路地の居酒屋。出演者やスタッフなど15人ほど。
MIRAは白いシャツに黒のスキニーに着替えていた。素に近い顔の方が綺麗さが際立っている。俺が端の席に座ると——
「ここ、いいですか?」
MIRAが隣に座った。近い。柑橘系にウッディなノートの香水。
「今日、ずっと前の方で聴いてくれてましたよね?」
「えっ、気づいてたんですか」
「ブースから見えるので。真剣な顔で聴いてくれてたから、嬉しかった」
そこから音楽の話が堰を切ったように始まった。ラリー・レヴァン、ロン・ハーディ、Detroit Techno——
「Carl Craigの『More Songs About Food and Revolutionary Art』はどう思います?」
「名盤。Bug in the Bassbinは神です」
「わかるっ!」
MIRAが思わず声を上げて、はっとした。
「……取り乱しました」
頬がうっすらピンクに。
(このギャップはずるい)
「本名は星宮美蘭(ほしみや みらん)、25歳。MIRAは名前から取ったDJネームです♡」
「藤崎蓮、26歳です」
午前5時、LINE交換。「今度レコード屋巡りしたいです♡」という美蘭の言葉に心臓が跳ねた。
翌週土曜。渋谷で待ち合わせ。白いニットにベージュのワイドパンツの美蘭は、ブースでのクールな雰囲気とは違う柔らかい印象。でも美しさは変わらない。
宇田川町のレコード屋で2時間。Theo Parrishの限定プレスやMoodymannのファーストを発掘しながら、肩が触れる距離で棚を漁った。奥渋のカフェでコーヒーを飲みながら
「Jeff Millsの『Live at the Liquid Room Tokyo』は何回聴いたかわからない」
と美蘭が目をきらきらさせた。
その翌週、美蘭のイベントが代官山UNITであった。ゲストリストで入場し、前方で聴いた。今夜のMIRAは明らかに気合いが入っていて、渾身の1時間セット。ラストは自身の楽曲——フロア全体が陶酔に包まれた。
打ち上げ後、午前4時。二人で代官山の夜道を歩いていた。
「……今日、なんであんなに気合い入ってたかわかりますか?」
美蘭が立ち止まった。街灯の光が横顔を照らす。
「蓮さんに、聴いてほしかったからです」
俺は深呼吸した。
「美蘭が好きだ。付き合ってほしい」
2秒、3秒——
「……はい♡ 私も蓮さんのことが好きです♡♡」
手を繋いだ。冷たい夜風の中で、繋いだ手だけがあたたかい。
「……うちに来る? レコード見せたいのもあるし」
美蘭がぎゅっと手を握り返した。
「……行きます♡」
午前5時。俺のマンション。
「わ、すごい……♡♡」
壁一面のレコード棚、テクニクスの1200が2台。美蘭が棚に駆け寄ってレコードを1枚1枚チェックし始めた。
「Drexciyaのコンプリートセット!?」
「中古屋とDiscogsで何年もかけて」
「信じられない……♡♡ 宝の山♡♡」
Larry Heardの「Can You Feel It」をターンテーブルにかけた。アナログの温かい音が部屋を満たす。
ソファに並んで座り、ウイスキーで乾杯。美蘭が俺の肩に頭を預けた。柑橘系の香りが近い。
レコードの針がB面の最後まで走り、しゅるしゅると空回りする音だけが残った。
静寂の中、美蘭がゆっくり顔を上げた。潤んだ切れ長の目。
「蓮さん……♡」
「キスしていい?」
「……はい♡」
ちゅ……♡
柔らかい。ウイスキーの香りが微かに混じるキス。
「……もっと♡」
深く唇を重ねる。舌を差し入れると美蘭の舌がおずおずと絡みついてきた。
ちゅる……♡ ちゅぷ……♡♡ じゅるっ……♡♡
「んっ……♡♡ 蓮さん、キス上手い……♡♡」
ちゅぷちゅぷっ♡♡ じゅるっ♡♡ れろれろっ♡♡
右手が自然に美蘭の腰に回る。びくっと震えたけど、拒まない。むしろ身体を寄せてきて俺のシャツをぎゅっと掴んだ。
「……脱がせていい?」
「……うん♡」
ニットを脱がすと黒いレースのブラ。ホックを外すと——Dカップの美乳。白い肌に薄ピンクの乳首がちょこんと立っている。
「すげぇ綺麗……」
「そんなに見ないで……♡♡」
ふにっ……♡
「ひっ……♡」
柔らかい。弾力があって指が沈む。両手で包み込むように揉む。
ふにふに……もにゅっもにゅっ♡♡
「蓮さんの手……大きい……♡♡ 気持ちいい……♡♡♡」
親指で乳首をくりっ♡
「ひゃっ♡♡♡」
びくんと跳ねた。
左の乳首を指で転がしながら右に口を近づける。ちゅっ……♡ れろ……れろれろ……♡♡
「あっ♡♡ 舌っ♡♡ だめっ♡♡♡」
吸う。ちゅぱっ♡♡ じゅるっ♡♡
「んああっ♡♡♡♡ 声出ちゃうっ♡♡♡♡」
左右交互に吸いながら空いた手でもう片方を揉む。
ちゅぱっ♡♡ もにゅもにゅ♡♡ じゅるっ♡♡
「あっ♡♡ んっ♡♡ はぁっ♡♡♡♡ 蓮さぁん……♡♡♡♡」
「下……触っていい?」
「……うん♡♡ 触って……♡♡♡」
ワイドパンツを下ろすと黒いレースのショーツ。ブラとお揃い。
「偶然です♡」
「嘘でしょ」
「……偶然じゃないかも♡♡」
ショーツの上から指を当てる。じわ……♡♡
「もう濡れてる」
「言わないで♡♡ 恥ずかしい♡♡」
すじに沿って上下に。くちゅ……くちゅ……♡♡
ショーツをずらして直接触れる。ぷっくりと膨らんだ花弁から蜜がとろり。
花弁を開く。ぷちゅ……♡♡ 小さな突起を探り当てて——くりっ♡
「んんっ♡♡♡♡♡」
腰がびくんと跳ねた。
クリを刺激しながら中指をゆっくり入れる。ずぷっ……♡♡♡
「んああっ♡♡♡♡♡」
きゅうっと締め付けてくる。
Gスポットを指の腹でぐりぐり。親指でクリも同時に。
「あっ♡♡♡♡ 両方はっ♡♡♡♡ ずるいっ♡♡♡♡♡」
美蘭の身体がぶるぶる震え始める。
「イくっ♡♡♡♡♡♡ イくイくイくっ♡♡♡♡♡♡♡」
びくんっ♡♡♡♡♡♡♡
きゅうぅぅっと指を締め付け、じゅわぁっと愛液が溢れた。
「すごかった……♡♡♡♡」
「美蘭、めちゃくちゃエロい」
「……DJの指は伊達じゃないとか言おうとしたけど、私がイかされる側だった♡♡♡」
「なにその冷静な分析」
「DJの性♡♡」
美蘭がくすっと笑って、それから真剣な目になった。
「蓮さんも……気持ちよくなってほしい♡♡」
美蘭が起き上がり、俺のベルトに手をかけた。
ジーンズを下ろし、パンツの上から触れる。
「……大きい♡♡」
パンツを下ろすとぶるんっと飛び出した。
「わっ……♡♡♡♡ おっきい……♡♡♡」
細い指でそっと握る。きゅっ……♡♡ ゆっくり上下に。しゅっ……しゅっ……♡♡
先端にちゅっ♡♡
「ぴくってなった♡♡」
舌を出して先端をぺろぺろ。れろ……♡♡ ちゅる……♡♡ カリを重点的に。裏筋を下から上へ。
大きく開けて咥えた。ずぷっ……♡♡♡
ちゅぱっ……♡♡ じゅるるっ……♡♡ ちゅぷちゅぷ……♡♡♡
黒い長髪がさらさら揺れながら頭が上下。上目遣いの潤んだ切れ長の目。
(あのクールな美人DJが……俺のをしゃぶってる……)
頬をすぼめて強く吸う。きゅぽっ♡♡♡
再び奥まで。ずぷっ……ずぷぷっ……♡♡♡ 喉の奥でぐりぐりと舌を動かす。
「美蘭……やばい……このままだと出る……」
ゆっくり口を離した。ちゅぽっ♡♡♡ 糸を引いている。
「……蓮さん♡♡ 入れてほしい♡♡♡」
「俺も入れたい」
「……ゴムなしがいい♡♡ 今日安全日だから……♡♡♡」
「いいの?」
「蓮さんになら……♡♡♡♡」
ベッドに移動した。美蘭が仰向けに横たわる。長い黒髪がシーツに扇のように広がり、Dカップの胸が左右に流れ、薄ピンクの乳首がぴんと立っている。
(DJ MIRAの、誰も知らない姿……)
「そんなに見ないで……♡♡♡ 恥ずかしいよ♡♡♡♡」
美蘭の脚の間に入り、先端を入り口に当てる。ぬるっ……♡♡
「入れるよ」
「……ゆっくり……♡♡♡」
ずぷっ……♡♡♡♡
「ぁああっ♡♡♡♡♡♡」
熱い。きゅうぅっと締め付けてくる。吸い込まれるように奥へ。
「おっきい……♡♡♡♡ 入ってくる……♡♡♡♡♡」
奥まで押し込む。ずず……ずずずっ……♡♡♡
「んんっ♡♡♡♡♡ 奥当たってる……♡♡♡♡♡♡」
「動くよ」
ずちゅっ♡♡ ずちゅっ♡♡♡
「あっ♡♡♡ あっ♡♡♡♡ んっ♡♡♡♡♡」
ぱんっ♡♡ ぱんっ♡♡♡ ぱんぱんっ♡♡♡♡
ビートを刻むようにリズミカルに腰を動かす。テンポを徐々に上げていく。
ぱんぱんぱんっ♡♡♡♡♡
「あんっ♡♡♡♡ 奥っ♡♡♡♡♡ 奥当たるっ♡♡♡♡♡♡」
美蘭の脚が俺の腰に巻きつく。かかとでぐっと引き寄せて、もっと奥へ。
「もっとっ♡♡♡♡♡ もっと速くっ♡♡♡♡♡♡」
ぱんっぱんっぱんっぱんっ♡♡♡♡♡♡
ぐちゅっ♡♡ ぬちゅっ♡♡♡
ベッドがぎしぎし軋む。部屋に肌がぶつかる音と美蘭の甘い声が反響する。
「声っ♡♡♡♡♡ 止まらないっ♡♡♡♡♡♡」
「止めなくていい。全部聞かせて」
「蓮さんのばかっ♡♡♡♡♡♡」
揺れる胸を掴む。もにゅっ♡♡ 乳首を転がしながら腰を振り続ける。
ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡♡♡♡♡♡
「来るっ♡♡♡♡♡♡♡♡ イっちゃうっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
「俺も……! 美蘭、中に出すぞ……!」
「出してっ♡♡♡♡♡♡♡ 中にっ♡♡♡♡♡♡♡♡ 蓮さんの全部ちょうだいっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
ずんっずんっずんっ♡♡♡♡♡♡
「イクっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
「出るっ……!!」
びゅるっ♡♡♡♡ びゅるるっ♡♡♡♡♡ どくどくっ♡♡♡♡♡♡♡
「んんんっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
美蘭の中に熱い精液がどくどくと注がれる。身体がびくびく痙攣しながらきゅうぅぅっと締め付ける。
「はぁ……♡♡♡♡ あったかい……♡♡♡♡♡♡」
ちゅっ♡♡ 穏やかなキス。
「美蘭……最高だった……」
「私も……♡♡♡♡♡ 蓮さんのリズム……BPMの上げ方がDJだった♡♡♡」
「そこ分析する?」
「職業病♡♡♡」
繋がったまま笑い合う。——まだ、俺の中の熱は収まっていなかった。美蘭の中で硬さを取り戻していく。
「……まだいけるの?♡♡♡」
「美蘭がエロすぎるから」
「……♡♡♡♡♡」
「今度は……私が上に乗る♡♡」
美蘭が俺を押し返して馬乗りに。繋がったまま体勢が変わる。
ずるっ……ずぷっ♡♡♡
「んっ♡♡♡♡ この体勢……奥まで入る……♡♡♡♡♡♡」
長い黒髪が背中に流れ、間接照明のオレンジ色の光がシルエットを浮かび上がらせる。Dカップの胸が重力に逆らって揺れる。
(ブースに立つ姿とは別の意味でかっこよくて、えろい……)
腰をゆっくり上下に。ずちゅっ♡♡♡ ずちゅっ♡♡♡♡
「あっ♡♡♡♡ 自分で動くと……すごい……♡♡♡♡♡♡」
胸がたゆんたゆん揺れる♡♡♡ 俺は手を伸ばして下から掴んだ。もにゅっ♡♡♡
「ひゃっ♡♡♡♡♡♡ 揉みながらはっ♡♡♡♡♡♡ ずるいっ♡♡♡♡♡♡♡」
DJがBPMを調整するみたいに自分のリズムを見つけていく。腰をぐりぐり回して——
「あっ♡♡♡♡♡♡♡ ここっ♡♡♡♡♡♡♡♡ ここ当たるっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
見つけたらしい。そこを擦り付けるように前後に腰を動かす。
ずちゅっずちゅっずちゅっ♡♡♡♡♡♡♡
「気持ちいいっ♡♡♡♡♡♡♡♡ 蓮さんのっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡ 最高っ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
俺の胸に両手をついて激しく腰を打ち付ける。
ぱんっぱんっぱんっぱんっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
黒髪が乱れて頬に張りつく。汗で肌がてらてら。目がとろんと蕩けている。クールな美人DJの完全に崩れた姿。
「また来るっ♡♡♡♡♡♡♡ イっちゃうっ♡♡♡♡♡♡♡♡」
「俺ももう……!」
「一緒にっ♡♡♡♡♡♡♡♡ 一緒にイこっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
ぱんぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
「イくっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ イくイくイくっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
「美蘭っ……! 中に出すっ……!!」
美蘭の腰をがっしり掴んで深く突き上げた。
ずんっ♡♡♡♡♡♡
びゅるるっ♡♡♡♡♡♡♡♡ どくどくどくっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
「んんんんっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
2回目の中出し。さっきより更に奥にどくどくと注ぎ込む。美蘭がぶるぶる震えて、がくんと俺の上に倒れ込んだ。
「はぁ……♡♡♡♡♡ すごかった……♡♡♡♡♡♡」
美蘭が俺の胸に顔を埋める。汗ばんだ肌。伝わる心臓の鼓動。
「蓮さん……♡♡♡」
「ん?」
「……幸せ♡♡♡♡♡」
ぎゅっと抱きつく。俺も抱きしめ返した。しばらく二人で動けなかった。
気がつくと薄い光がカーテンから差し込んでいた。午前10時。
美蘭が俺の腕の中ですやすや眠っている。すっぴんの寝顔はブースの上のクールな美人とは別人みたいに無防備で可愛い。
まつげがぴくっと動いた。ゆっくり目が開く。
「……おはよう♡」
「おはよう」
「昨日のこと、夢じゃないよね♡♡」
「夢じゃないよ」
「……蓮さんの彼女♡♡♡♡♡」
「うん。俺の彼女」
「えへへ♡♡♡♡♡♡」
クールな美人DJはどこに行ったのか。腕の中でにへらと笑う25歳の女の子がいる。
コーヒーを淹れて、美蘭が棚からレコードを引き抜いた。Derrick Mayの「Strings of Life」。
「朝からこれ聴くの?」
「最高じゃん♡♡♡」
ターンテーブルに乗せて針を落とす。あのピアノのイントロが部屋に響く。
朝の光の中で、俺のシャツだけを羽織った美蘭。長い黒髪。白い脚。
「蓮さん」
「ん?」
「また一緒にDJしたいな♡♡♡♡ Back to Back♡♡♡♡♡」
「俺なんてブランクあるから——」
「関係ない♡♡ 蓮さんの選曲のセンスは本物だもん♡♡♡♡♡」
美蘭が俺の目をまっすぐ見た。ブースに立つ時の、あの真剣な目。
「次のイベントは、蓮さんのために回すよ♡♡♡♡♡♡♡」
ちゅっ♡♡ 不意打ちのキス。
「……それは聴きに行くしかないじゃん」
「でしょ♡♡♡♡♡♡♡♡」
「でも条件がある♡♡ その次のイベントでは、蓮さんもブースに立つこと♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
「……マジで?」
「マジ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ DJ MIRA feat. REN♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
「featじゃなくてBack to Backだろ」
「ふふっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
Strings of Lifeのピアノが部屋に響く中、美蘭が俺の隣でコーヒーカップを傾ける。
音楽が繋いだ縁。ブースの上で惹かれ、打ち上げで距離が縮まり、告白して結ばれた。
俺と美蘭の物語は、まだイントロが始まったばかりだ。これからの人生というロングセット、二人でミックスしていこう。
「蓮さん♡♡♡♡」
「なに?」
「大好き♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
「……俺も。大好きだよ、美蘭」
ちゅっ♡♡♡♡
コーヒーの味がするキス。最高の朝だった。
― 終 ―