大学3年、21歳。
授業は週3に詰め込んで、空いた時間はひたすら自転車を漕いでいる。 ウーバーイーツ。シフトなし、好きな時間に好きなだけ働ける。大学生にとっては最強のバイトだ。
ピロン。
「ご注文が入りました——グリーンカレー×1、ガパオライス×1」
タイ料理か。配達先は——
「グランメゾン○○ 705号室」
(また705号室か)
ここ2週間で4回目。注文者名はいつも「S・ナツキ」。 そして毎回、出てくるのは同じ人。
栗色のセミロング。切れ長の目。すっと通った鼻筋。 華奢だけど出るところは出ている。部屋着のTシャツ越しでもわかるDカップ。 ——いや、見てないよ。目に入っただけだ。
3回目の配達で「あ、また同じ人だ」と覚えられた。 俺は「あ、はい、また来ちゃいました」としか返せなかった。
4回目の今日。705号室のドアが開く。
白いVネックのカットソーにデニムのショートパンツ。ハーフアップでうなじが見える。細いフレームのメガネ。
「こんにちは。毎回ありがとうございます」
にっこり。なんでこんな美人がいつも一人で出前を頼んでいるのか。
「グリーンカレーとガパオライスです」
「あ、ちょっと待ってください」
彼女が小走りで部屋の奥に消えて、戻ってきた手には小さな紙袋。クッキーだ。
「この前通販で買いすぎちゃって。毎回来てくれるお礼に♡」
リボンが結んであるやつ。わざわざ準備してくれたっぽい。
「い、いいんですか?」
「もちろん。いつも同じ人が来てくれると安心するので」
「ありがとうございます。……嬉しいです」
「ふふ、大げさ」
目尻が下がって、ちょっとだけ舌が覗く笑い方。
(やばい、めちゃくちゃ可愛い)
エレベーターの中でクッキーの袋を眺めた。
(……これ、脈あり?)
いやいや。社交辞令だ。でも心臓がうるさかった。
5回目。ハンバーガーの配達。
705号室。もはやこの部屋番号を見ると心拍数が上がるようになっている。 配達員としてどうかと思うけど、仕方ない。
インターホンを押す。
「はーい……あ、来た来た」
来た来た? 待ってたみたいな言い方。
ドアが開く。ラベンダー色のパーカーにスウェットパンツ。ゆるい格好なのに可愛い。メガネは今日もかけている。
「お待たせしました。アボカドバーガーとポテトです」
「ありがとう」
受け取りながら、彼女がじっと俺を見た。
「いつも自転車でしょ? 暑くない?」
「まあ、多少は。でも慣れました」
「えらいなあ。あ、お水飲む?」
玄関先でペットボトルの水を渡された。
「冷えてるやつ。どうぞ」
「あ、ありがとうございます……」
一口飲む。キンキンに冷えてて生き返る。
「ねえ、名前聞いてもいい?」
「浅田です。浅田悠斗」
「悠斗くん? 大学生?」
「はい、3年です」
「私、宮本なつき。同い年かも。21」
「え、俺も21です」
「やっぱり!」
フリーランスでWebデザインをやっていて、在宅が多いこと。だから注文が多いこと。何気ない会話だけど楽しかった。
「……じゃあ、また来てね。悠斗くん」
名前で呼ばれた。心臓がバグった。
6回目の配達のとき、事件が起きた。
パスタの配達。705号室。もはやルーティンだ。
インターホンを押す前にドアが開いた。
「あ」
なつきさんが出てきた。驚いた顔。
「え、早くない? 今鳴らそうとしたのに」
「ドアスコープ見てた……わけじゃないよ? たまたまゴミ出そうとして」
手にゴミ袋を持っている。本当にたまたまっぽい。
「はい、ボロネーゼです」
「ありがとう。……ねえ悠斗くん」
なつきさんが真剣な顔になった。
「あのさ、変なこと聞くかもだけど——LINE、教えてくれない?」
——は?
「在宅で一人だと話し相手いなくて寂しいの。悠斗くんと話すの楽しいし。……迷惑?」
迷惑なわけがない。
「ぜんっぜん迷惑じゃないです。むしろお願いします」
声がひっくり返った。情けない。でもなつきさんはくすっと笑ってQRコードを見せてくれた。
「よろしくね♡」
その日の夜からLINEのラリーが始まった。
「さすがウーバー戦士笑 じゃあ今度一緒に行こうよ!」
「行きたいです!」——即レス。3秒。
スマホを胸に置いて天井を見つめた。
(デート……だよな? これ)
土曜日。駅前のイタリアン。
なつきさんは白いブラウスにプリーツスカート。メガネじゃなくてコンタクト。ちゃんとおしゃれした姿は破壊力が違った。
パスタを食べながらいろんな話をした。話題が尽きない。気づいたら3時間。
「悠斗くんだから、っていうのもある」
「え」
「最初に来てくれたとき、ちゃんと目を見て挨拶してくれたでしょ。それが嬉しくて」
マンションの前で立ち止まる。春の夕暮れ。
「配達じゃなくて、普通に会いたいから」
「……俺も、会いたいです」
帰り道、自転車を漕ぎながらずっとニヤニヤしていた。
そこからは週1で会った。 2回目はラーメン屋。3回目は映画。4回目は水族館。クラゲの水槽の前で自然に手を繋いだ。
5回目のデートの帰り。夜の公園のベンチ。
「好きです。付き合ってください」
なつきが俺の手をぎゅっと握った。
「……遅い。3回目のデートから待ってた」
なつきが目を潤ませて笑った。
「私も好き。大好き。付き合いたい」
俺の肩にぽすんと頭を預けて。
「今日……うち来ない?」
705号室。何度も配達で来たドアを、今度は彼女として迎えてもらう。
白ワインで乾杯。グラスがちん、と鳴った。
「彼氏と彼女に、乾杯♡」
間接照明が温かい部屋。ワインを2杯飲んだあたりで、空気が変わった。
「キス、してくれないの?」
なつきの頬に手を添えた。ゆっくり顔を近づける。なつきが目を閉じた。
唇が触れた。柔らかい。ワインの甘い味がした。 触れるだけのキスから少しずつ深くなる。舌が触れ合った。
「ん……♡」
ちゅ、ちゅ、と濡れた音が部屋に響く。
「んぅ……♡♡ もっと……♡」
キスしたまま、なつきをそっと押し倒した。ラグの上に横たわる。
「そんなに見ないで……♡ 恥ずかしい……♡」
「見るに決まってるだろ。彼女がこんなに綺麗なんだから」
「ばか……♡♡」
パーカーを脱がせた。下は薄いキャミソール。ブラはしていない。
キャミソールの上から胸に触れた。ふわん。
「んっ……♡」
柔らかい。弾力があって手に吸い付くみたいだ。
「やぁ……♡ そんな揉まないで……♡」
「やめる?」
「やめないで……♡♡」
肩紐を下ろすと、形のいい胸が現れた。白い肌に薄いピンクの乳首。
「見ないでってば……♡♡」
「無理」
親指で乳首をくりっと撫でる。きゅっと硬くなった。 両手で胸を揉みながら乳首を指先で転がす。くりくり。
「あっ♡ あっ♡ だめ……♡ 声出ちゃう……♡♡」
乳首に唇をつけた。ちゅ、と吸う。
「ひあっ……!♡」
舌でころころ転がしながら吸う。反対側も指で摘まんで引っ張る。
「ひゃあっ♡♡ 両方同時はずるい……♡♡♡」
なつきの手が俺の髪を掴んだ。押し返すんじゃなくて、引き寄せる方向。
「もっと……♡ もっと吸って……♡♡」
しばらく胸を堪能した。吸って、舐めて、揉んで。なつきの声がどんどん甘くなっていく。
「なつき……下も触っていい?」
なつきが恥ずかしそうに頷いた。
スウェットパンツに手をかける。ゆっくり下ろすと、白いレースのショーツ。
(こういうの履いてるんだ……)
予想してたか? と聞かれたら、予想はしてなかった。でも最高だ。
太ももに手を滑らせる。すべすべの内もも。
「あ……♡ そこ……♡」
ショーツの上からそっと触れた。くちゅ。
「っ……♡♡」
「すごい。もう濡れてる」
「言わないで……♡ 恥ずかしい……♡♡」
指で輪郭をなぞる。ショーツの布が濡れて肌に張り付いている。
「あ♡ あっ♡ 焦らさないで……♡♡」
ショーツを脱がすと細い糸を引いた。きれいに整えられた花びらが蜜で光っている。
「やぁ……♡ 見ないで……♡♡」
膝を閉じようとするのを優しく開く。
「見せて。綺麗だから」
「嘘……♡ そんなこと言われたの初めて……♡♡」
内ももにキスを落としながら、ゆっくり顔を近づけた。
舌が花びらに触れた。
「ひぁっ♡♡」
下から上へ、ゆっくりと舐め上げる。くちゅ、ちゅ。
「あっ♡ あぁっ……♡ 舌……♡ 気持ちいい……♡♡」
一番敏感な場所を見つけて、舌先でちょんちょんと触れた。
「そこっ♡♡ だめっ……♡ そこだめ……♡♡♡」
体がびくんと跳ねた。太ももが俺の頭を挟み込む。
「だめって言いながら挟んでるよ?」
「だって勝手にっ……♡ あっ♡♡」
集中的に舌先で転がす。くりくり。
「あっあっあっ♡♡ そこそこそこ♡♡♡」
なつきの腰がぐにゃぐにゃに揺れる。ラグを掴む手が白くなっている。
舌で刺激しながら、指をそっと入り口に当てた。くちゅ。
「あっ♡ 指も……♡」
ゆっくり一本入れる。ぬるりと入った。中は熱くて、きゅうっと締めつけてくる。
「あああっ♡♡ 入ってる……♡ 舌と指同時は……♡♡♡」
「同時は……♡ だめ……♡ おかしくなっちゃ……♡」
くちゅくちゅくちゅ。
「悠斗っ♡ もう……イっちゃ……♡♡♡」
スピードを上げた。指を2本にして、舌も速く動かす。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ ——ッッ!!♡♡♡♡」
びくんっ! なつきの体が弓なりに反った。中がぎゅうぎゅうと指を締め付ける。
「はぁ……♡ はぁ……♡♡ すごかった……♡♡♡」
余韻でぴくぴく震えるなつき。潤んだ目、真っ赤な頬、半開きの唇。
なつきが息を整えながら体を起こした。潤んだ目で俺を見上げる。
「……私も、したい♡」
ベルトを外され、ジーンズごと下ろされた。限界まで張り詰めたそれが現れる。
「わ……♡ おっきい……♡♡」
「そんなこと——」
「嘘じゃないよ♡」
細い指が根元から先端へゆっくりなぞる。
「ふふ、ぴくって動いた♡」
両手で包むように握る。ぎゅ、と優しく。
「気持ちいい?」
「……めちゃくちゃ」
なつきが嬉しそうに笑って、顔を近づけた。先端にちゅ、とキスを落とされた。
「っ……!」
舌先で先端を舐める。くるくると渦を描くように。
「んっ……♡ れろ……♡♡」
ぱくっと咥え込まれた。温かくて柔らかい口の中。舌が裏側を這い回る。
「ん、ちゅぱ……♡ んん……♡♡」
ちゅぱ、ちゅぱ、じゅるる。奥まで咥えて、ゆっくり引き抜いて、また深く。
「やばい、なつき……上手すぎる……」
「んっ♡ ほんと♡? んぷ……♡♡」
褒めると嬉しそうに目を細めて、さらに激しくなった。 頬をきゅっと窄めて吸い上げる。じゅぼっ。
「うっ……やば……」
頭が真っ白になりそうだ。
「なつき、もう限界……」
口を離したなつきが上目遣いで見上げてきた。唾液の糸がきらりと光る。
「中に出して♡」
「……いいの?」
「うん♡ ピル飲んでるから大丈夫♡」
なつきがラグの上に仰向けになった。膝を立てて、そっと開く。
「来て……♡ 悠斗……♡」
覆いかぶさる。正常位。先端を入り口に当てた。ぬる、と蜜が絡みつく。
「入れるよ」
「うん……♡ ゆっくりね……♡」
ゆっくり腰を進める。ずぶ……ずぶぶ……
「あっ……♡♡ 入ってくる……♡ おっきい……♡♡」
根元まで入りきった。密着した体。心臓の音がお互いに聞こえる。
「キスして……♡」
唇を重ねた。舌を絡めながら、ゆっくり腰を動かし始める。ずちゅ、ずちゅ。
「ん……♡ んんっ……♡♡ 気持ちいい……♡♡」
少しずつテンポを上げていく。ぱん、ぱん、ぱん。
「あっ♡ あっ♡ 奥に当たって……♡♡」
なつきの足が俺の腰に絡みついた。爪が背中に食い込む。
「もっと……♡ もっと奥まで……♡♡」
腰の角度を変えて深く突き入れる。ずぷっ——
「ひあっ♡♡♡ そこぉっ♡♡ そこすごい♡♡♡」
同じ場所を繰り返し突く。ぱんぱんぱん。
「悠斗っ♡ 好き♡ 好き好き♡♡♡」
「俺も好きだ……なつき……」
「あっ♡♡ それ言われたら……♡ もう……♡♡♡」
中がびくびくと痙攣し始めた。
「イっちゃう♡♡ 悠斗のでイっちゃう♡♡♡」
「俺も……出る……!」
「出してっ♡ 中にいっぱい出してっ♡♡♡」
ぱんぱんぱんぱん——
「あっ♡ あっ♡ イくっ——ッッ♡♡♡♡♡」
びくんっ!! 中がめちゃくちゃに締め付けてくる。
「くっ——出る……!!」
どくっ、どくっ、どくん。一番奥に全部注ぎ込んだ。
「あああっ♡♡♡♡ 熱いっ♡ 中にいっぱい出てる♡♡♡♡♡」
びくん、びくん。なつきの体が小刻みに痙攣する。中が搾り取るようにきゅうきゅう動いている。
「はぁ……♡ はぁ……♡♡ すごかった……♡♡♡」
額にキスを落とした。
繋がったまま少し休んだ。なつきが蕩けた目で俺を見上げる。
「まだ……したい♡ 全然足りない♡♡」
なつきが俺を仰向けにさせて、腰を跨いだ。
「今度は私が動く♡」
間接照明に照らされたシルエット。形のいい胸、くびれたウエスト、しなやかな太もも。
花びらが先端に触れる。さっき出したものと蜜が混じって、ぬるぬるだ。
「入れるね……♡」
ゆっくり腰が沈んでいく。ずぶ……ずぶぶ……
「あっ♡♡ この体勢……深い……♡ 奥のもっと奥まで……♡♡♡」
腰を前後に揺らし始める。くちゅ、くちゅ、くちゅ。
「あっ♡ あっ♡ 自分で動くの……♡ やばい♡♡」
胸がたゆん、たゆんと揺れる。ぱん、ぱん、ぱん。
「やばっ♡♡ 奥にがんがん当たるっ♡♡♡」
「なつき、中やばい……すげえ締まる……」
「だって♡ 気持ちよすぎて♡ 勝手にきゅってなっちゃうの♡♡♡」
腰を掴んで下から突き上げた。ずぶっ!
「ひあっ♡♡♡ したから来たっ♡♡ 挟み撃ちはだめっ♡♡♡」
ぱんぱんぱんぱん。下からの突き上げに合わせて、なつきも腰を叩きつける。
「あっ♡ あっ♡ もうだめっ♡♡ またイっちゃうっ♡♡♡」
「俺も……もう……」
「一緒にっ♡ 一緒にイこっ♡♡ 中に出してっ♡♡♡」
「出る——!」
「イくっ♡♡ イくイくっ♡♡♡——ッッッ♡♡♡♡♡♡」
どくん、どくん、どくん。奥の奥に、2回目を全部出し切った。
「あっ♡♡♡♡ また来てるっ♡♡ いっぱいっ♡♡♡♡♡」
びくんびくんっ。なつきがガクガク震えながら俺の胸に崩れ落ちた。
荒い呼吸と心臓の音だけが部屋に響いている。
ゆっくり体を離す。繋がっていたところから、とろりと白いものが溢れた。
「あ……♡ いっぱい出てくる……♡♡」
隣に横たわって、なつきを抱き寄せた。汗ばんだ肌が触れ合う。
「……めちゃくちゃ気持ちよかった♡♡」
「俺も。過去最高」
「……えへへ♡♡」
しばらく黙って、お互いの体温を感じていた。
「最初にうちに配達に来たとき、覚えてる?」
「覚えてるよ。グリーンカレー」
「あの日ね、ドア越しにカッコいい人だなって思ったの。それで次の日またウーバーで注文したの。同じ人が来ないかなって」
「……え、それで?」
「来たんだよね、また。あ、運命かもって思った」
なつきが体を起こして俺を見下ろした。栗色の髪がはらりと落ちて、間接照明に照らされた笑顔が柔らかくて。
「こうやって彼氏になってくれたんだもん♡」
「クッキーも水も、全部作戦だからね」
「……してやられた」
「してやったり♡」
「LINE聞いたのもめっちゃ勇気いったんだから。断られたらもう二度とウーバー頼めないと思って」
「断るわけないだろ」
「だよね♡ だって悠斗、いつもちょっと嬉しそうな顔してたもん」
「……バレてたのかよ」
「バレバレ♡」
二人で笑った。
なつきがまた俺の胸に頭を乗せる。
「ねえ、配達員さん」
「なに?」
「今日の配達はこれで終わり♡」
「……何を配達したんだよ」
「たっぷりの愛情を、2回♡♡」
「……ばか」
「悠斗のばか♡」
なつきがぎゅっと抱きついてきた。
「明日も来てね。配達じゃなくて♡」
「毎日来るよ」
「約束♡」
「約束」
窓の外ではもう夜が深くなっていた。 705号室。何度も配達で来たこの部屋が、今日から特別な場所になった。
隣で寝息を立て始めたなつきの頭を撫でる。さらさらの栗色の髪が指の間を通り抜けていく。
——あのとき、配達リクエストを受けてよかった。
ウーバーイーツのレビュー欄には書けないけど、人生で最高の配達だった。
おわり