大学・学園
勝つためじゃなく歌が好きというだけで飛び込んだ大学の競技かるた部で、クイーンを取り逃して札がただの記号になっていた同期のA級選手に決まり字を一枚ずつ教わるうち惹かれ、冬の団体戦を終えた夜に誰もいない和室の部室で結ばれた話
百人一首の歌が好きというだけで入った競技かるた部。同期の久住詩織は、ぜんぶの札を覚えていて、誰よりも速く払う、けれどもう歌の意味なんて見ていないA級選手だった。一枚ずつ決まり字を教わるうちに、僕は彼女が「勝つこと」に擦り切れていることに気づく。冬の団体戦を終えた夜、誰もいない和室の部室で、ただの記号だった札が、もう一度、歌に戻った。