大学・学園
卒業研究と就活に削られて夜の理系キャンパスをさまよっていた僕が、人の目があると描けないからと旧校舎の空き教室で深夜にひとり大きな絵を描く同じ学年の彼女に惹かれて通ううち、卒業制作を描き上げた夏至の夜に絵具の匂いの教室で結ばれた話
卒研と就活に削られて、夜の理系キャンパスを意味もなくさまよっていた僕は、取り壊し待ちの旧校舎で深夜にひとり大きな絵を描く同じ学年の久瀬詩織に出会った。人の目があると描けない彼女の絵の番をするうちに距離が縮まり、卒業制作を描き上げた夏至の短い夜、絵具の匂いの教室で二人の輪郭が滲んで重なった。