大学・学園
何ひとつ手放せず安全な進路ばかり計算して生きてきた僕が、なんとなく入った大学のグライダー部で、卒業したら二度と空には乗れないと知りながら誰より早く滑空場に立つ四年の先輩に、風を読んで機体を空へ手放す感覚を教わるうちに惹かれ、夏の終わりの夕凪の滑空場で結ばれた話
数字と安全ばかり計算して、何ひとつ手放せないまま生きてきた僕が、なんとなく入った大学のグライダー部。そこには、卒業すればもう二度と空には乗れないと知りながら、誰より早く滑空場に立つ四年の天野先輩がいた。風を読んで機体を空へ手放す感覚を教わるうちに惹かれ、夏合宿の最終日、夕凪の滑空場で、いつも凪いでいた先輩の声が、はじめてほどけた。