元カノ・再会
東京の編集室で他人の幸せばかり繋ぎ続けて擦り切れた僕が、祖父の空き家を片付けに帰った港町で、今月末に閉館する古い名画座の最後の灯を守っていたのが、七年前に『映画館なんて時代遅れだ』と言って僕が手放した元カノだった話
他人の結婚式や思い出ばかりを繋ぐ仕事に擦り切れて、祖父の空き家を片付けに帰った初冬の港町。今月末で閉まるという古い名画座『みなと座』の、最後の特集上映。切符売り場の小窓からこちらを覗いたのは——七年前、『映画館なんて時代遅れだ』と言って僕が手放した元カノ・詩織だった。フィルムが回る薄暗い映写室で、止まっていた二人の時間が、潮の匂いの中で、もう一度ゆっくりと動き出す。