社会人・オフィス
社員ひとりひとりをサイズ表の数字としてしか見ないまま制服刷新を進め、ついには社内の被服室まで畳もうとしていた人事二年目の僕が、何十年も一着ずつ手で制服を体に合わせ直してきた無口な年上のお針子に運針を教わるうちに惹かれ、長雨の明けた初夏の夜に誰もいない被服室で結ばれた話
全社員をサイズ表の数字としてしか見ないまま、僕は制服の刷新を進め、ついには社内の被服室まで畳もうとしていた。採寸データを取りに通った地下の被服室で出会ったのは、何十年も一着ずつ手で制服を体に合わせ直してきた、無口な年上のお針子・真壁さん。服には、着る人の暮らしが沁みているのだと、彼女は教えてくれた。長雨の明けた初夏の夜、誰もいない被服室で、僕たちは結ばれた。