趣味・習い事
気に入らなくなったものはすぐ捨てて買い替えてきた僕が、十年使ったマグカップを欠いてしまいどうしても捨てられずに駆け込んだ年末の金継ぎ教室で、隣の席で祖母の形見の蕎麦猪口を黙々と継ぐ同い年の小学校の先生に惹かれ、欠けを金で埋め終えた年の瀬の夜に結ばれた話
壊れたものは、捨てて、買い替える。それで何ひとつ困らずに生きてきたつもりだった。十年使ったマグカップの縁を欠いてしまった夜、僕はなぜか、それをゴミ箱に落とせなかった。調べて駆け込んだのは、年末の金継ぎ教室。隣の席で、祖母の形見だという蕎麦猪口を黙々と継いでいたのが、同い年の小学校の先生、七海さんだった。漆を一層ずつ気長に乾かし、欠けを金で埋めていく時間のなかで、僕は彼女に惹かれていって——継ぎ目に金がのった年の瀬の夜、漆の匂いのする教室で、僕たちは結ばれた。