趣味・習い事
一秒を千に刻む株取引システムの開発に追われて季節が変わったことにも気づけなくなっていた僕が、亡き祖母の小さな茶室をひとりで継いで茶の湯を教える同い年の彼女に、湯が沸くのを待つ“間”と薄茶の点て方を一から教わるうちに惹かれ、炉開きの夜に釜の鳴る茶室で結ばれた話
一ミリ秒を削ることに何年も追われて、僕は季節が変わったことにも気づけなくなっていた。終電も逃した夜、古い路地でただ一軒灯る茶室から、しゅんしゅんと釜の鳴る音が聞こえた。亡き祖母の茶室をひとりで継いで茶を教えていたのは、同い年の椿さんだった。湯が沸くのを待つ“間”と、薄茶の点て方を一から教わるうちに、僕は彼女に惹かれていって——茶人の正月と呼ばれる炉開きの夜、釜の鳴る小さな茶室で、僕たちは結ばれた。